不思議な存在透明カセット?

 数あるMDプリンター用カセットで最も不思議な存在なのは白色カセットを抜いてこの光沢仕上げカセットだろう。しかし、このカセットはデカール作りの観点からは白色と同等の重要性を持つので解説してみる。

MDプリンターの場合

 上が片面仕様の光沢仕上げ、下がリバーシブルになった光沢仕上げ2。当然、どちらのカセットもリボンの色は無く無色透明。
 ただし、裏返した光沢仕上げ2はデカール印刷では印刷画像を傷つけることがあるのでksinはもっぱらデカールには光沢仕上げを使用している。

 光沢仕上げ2を開けてみた。リボンのエッジ乱れを防止するためのリールに隠れてリボンの巻量が外からは見えないが、しっかり巻かれている。ガイドローラーはスプリングで保持されていたりして、一番複雑な構造のカセットとなっている。

インクジェットの場合

 デカール作りには使用できないが、光沢をコントロールするためのインクがインクジェットプリンターにも存在するので紹介しておく。写真、右端のカートリッジはグロスオプティマイザと呼ばれるカートリッジで、印刷画像の表面光沢がインクにより着色された部分と白色表現のためインクが塗布されず用紙の表面が直接露出した部位で異なるのを避け、印刷品位を上げるためにインクの塗布されていない部分の光沢調整のため使用されるもの。なお、このプリンターは顔料インクを使用するタイプなので、これでデカールが作れるとうれしいのだが、白色インクが無いと同時にインクジェットでページ合成を行うとインクが乾く前に用紙がプリンター内に引き戻され大惨事に・・・。

デカール印刷では

 これはMDプリンターで印刷を行った状態のksinの脳内イメージ。ksinははこのように解釈しているが現実を説明するわけでは無い事をあらかじめお断りしておく。
 まず、下の水色部分が台紙、その上の白っぽい部分がデカールフィルムである。右上の黒いのMDプリンターのヘッドで、その下の左上がりの線はインクのベースフィルムだ。ヘッド直下のインク粒子は整然とベースフィルムに塗布された状態からヘッドにより印刷用の加熱を受けるが、すぐにフィルムから引きはがされるため、インクは整列が乱れ密度が下がり表目の平滑性も失われるため光沢も無い。このため、インクのデカール用紙への密着度も強くなく、はがれやすいと推測される。
 この状態で、さらにページ合成でインクを乗せようとしても定着が弱い部分を上に乗るインクが引きはがしてしまい、うまく印刷出来ないという現象が発生する・・・とksinは考えている。

 そこで光沢仕上げカセットを用いるとどうなるかをksinがイメージすると・・・。
 印字ヘッドにより再度加熱&圧着されたインクは光沢仕上げフィルムにより圧着されたまま次のローラーまで冷却される。冷却後ローラー通過後、光沢仕上げフィルムから引き離されたインクは密着・整列状態を維持したままデカールフィルム上に光沢を持って定着すると言うのが、ksinの脳内シミュレーション。
 この、光沢を持ち密度高く密着されたインクはさらなるページ合成にも耐え、印刷されたデカールの印刷品位も向上し少し擦れにも強くなっている。また、光沢仕上げを行わないデカール印刷面は弱いだけでなく、光沢が無いことにより実際の発色よりも乱反射により白っぽく見えることがあるので、正確な色を確認するためにも光沢仕上げはデカールには必要な行程だとksinは考えている。
 光沢仕上げ行程は要所要所で行う事が必要で、デカール最初の印刷である特色ホワイトの直後および、最終排紙直前の仕上げ行程での光沢仕上げ印刷は必須であるが、印刷途中での使用は印刷時のインクの組み合わせと室温環境により実際に印刷してみて適不適を判断する必要があるためデカール印刷は時間と気力と材料を消耗する趣味であるとksinは印刷のたび悩んでいる。

 以上の解説はksinの脳内妄想によるものなので、メーカーはいっさい関知しないのはご想像の通りである。
 メーカとしてはデカール作りを考慮して開発した物では無いのだろうがMDプリンターにはこれでデカールを作ってくださいと言わんばかりの(ksinの偏見)オプションがそろっている。
 光沢の無いデカール紙に印刷された光沢のあるマーキングは一見余白の無いすばらしいデカールに見え、カルトモドキのできあがりである。そのためksinはデカール紙の裏面にエコブラックインクを使用して”なるべく小さく切り抜いて使用してください”の注意書きを印刷している。これはMDプリンターで自作したデカールは余白ゼロ印刷に見える為、適当に切り抜き水につけられてしまうのを防ぐ為である。第三者的見識による会長からのアドバイスを素直に受け入れた。

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