正しい色は見えない?

 私たちは白いノートはいつ見ても白いノートと認識できます。昼間の太陽の下でも、夜の電球の下で見ても白いノートは白く見えるのです。
 日常生活ではとっても便利な人間のこの機能を色彩恒常と呼びます。デジカメなどのオートホワイトバランスはこれに相当します。
 フィルムを使ったカメラではそのときの色を感じて記録されるのですが、プリント時にオペレーターによって普段見慣れた色に補正され、見た目に自然な写真として提供されています。

 これでは、微妙な色の差を見分ける作業に支障があります。たとえば一個一個がすべて異なる天然真珠をネックレスのように数珠繋ぎにするとき、隣り合った真珠同士は似た色にすることで、ネックレスが自然に見えるようにしています。
 このように微妙な色を見分ける作業をするときは日の出3時間後から日の入り3時間前までの間、太陽の直射を避けた北窓からの光の下で行います。このときの照明は補助標準イルミナントCと定義され、色温度は6774Kです。

 また、私たちが見た物を記憶している色は現実とは少し隔たりがあるようです。たとえば、肌の色はより白く、より鮮やかに記憶しているため現実の肌とまったく同じ色を再現できたとしてもそれを塗った物は違う色にみえるということになります。私たちが記憶している色を記憶色とよびます。
 模型を塗装する時には正確な色を塗るのではなく、この記憶色に見える色を塗装すると自然な感じに見えるのでしょう。

けいしんのぺーじへもどる