インスタントレタリングの自作

 MDプリンター対応を謳ったレタリングシートの模型への対応をksin流に検証してみた。
 デカールはフィルムの上に印刷されたMDインクをフィルムごと模型表面へ貼り付けるので取扱いは比較的簡単だが、使用状況によっては極薄のフィルムの厚みさえ気になる場合もある。
 一方、インレタはシートに印刷した後、MDインクだけを対象物に転写するためフィルムの存在を気にする必要は無い。しかしインクを支えるフィルムがない分、取扱いにはデカールとは異なった注意が必要。

 試作してみたインレタの裏と表をスキャンした画像。デカールは下地に特色ホワイトを置き、その上に必要な色を重ねて画像を印刷していくが、インレタは反転して使用するため画像印刷終了後、ベースドホワイトにより下地白色を得ることになる。黒色インクの上にはベースドホワイトが乗りにくい様子が観察できるが、黒色の下地に白色は必要が無いため実使用上全く問題はないと言える。
 自作したインレタは多色印刷が可能であることが大きなメリット。通常、専門店に依頼して制作してもらう場合は単色での仕上がりになるようですが定着性に関しては専門店ならでは使いやすさがあるようです。

 印刷工程が反転する事でデカールでは得られなかったページ合成によるオレンジ色が得られるのもインレタの特徴と言える。レスキューアローのオレンジとその先の黄色の丸のいろの違いに着目されたい。

デカールの場合

インレタの場合

こちらが上面

転写対象面

ベースドホワイト

特色ホワイト

透明ベースフィルム

レタリングシート(使用時は残らない)

接着面

使用時はこちらが上面
 基本色の重ね方は上図のとおりだが、このあと応用できる印刷手順と使用できるインクカセットにはおおきな違いがある。

 インレタ正面画像でオレンジに見えている部分のインクの重ね方は黄色+ベースドホワイト+ベースドレッドの順で印刷して黄色面から見ている。つまり、右の色重ねで印刷した物を下面から見ている状態である。

プロセスイエロー

ベースドレッド

特色ホワイト

ベースドホワイト

特色レッド

プロセスイエロー
 一方、デカールでオレンジをページ合成で得ようとすると、左の色重ねを行う事になるのだが、本来プロセスカラーは特色ホワイトの上に重ねるべきいろであるため安定してデカール用紙上に定着させる事が難しい。特色ホワイトの代わりにベースドホワイトを重ねると当然プロセスイエローは定着しないので、これもまたNGとなり、デカールでは特色オレンジが必要となってしまう。

けいしんのぺーじ