特色オレンジカセットによる色表現

 MDプリンターにとって不可能とされているドットの無いオレンジ色の表現。不可能とされている理由が分かれば、その理由を取り除けば良い。考え方は特色グレーカセットと同じ。求めよ さらば 与えられん。

 絵の具を使ったオレンジ色は赤色に黄色を混ぜて作る。これをMDプリンターで使用するカセットの色で置き換えてみると赤RはM+YであることからR+YはM+Y+Yとなる。実際に印刷するにあたって水谷氏によるカラーサンプルからY+Y=2Yとはならないことが分かっている。そのため、この式を1/2M+Yと解釈して印刷をしてみると1/2M=M+Wと置き換えて、M+W+Yの順番で印刷してみたのが上のカラーバー。全幅にわたってMを印刷した上にWをページ合成し、さらにYをページ合成してオレンジを得ている。紙の上では理屈どおりにきれいに印刷できるのだが・・・。

 イエロー100%に対しマゼンタを10%から90%まで変化させる事で得られるオレンジ色のグラデーション。ご存じの通り、この印刷方法ではドットの密度変化によるオレンジ表現になる。1000シリーズではドットサイズ解像度共に600dpiであるが、5000シリーズではVD印刷を選択することで、ドットサイズを600dpiから2400dpiまで変化させることで粒状感は一段と改善される。

 試作特色オレンジインクによるページ合成を利用したグラデーション表現を試みる。印刷結果から見るとこの試みは失敗である。この特色オレンジインクはページ合成による濃度変化は得られない。

 グラデーションを得るもう一つの方法。単色によるドット密度の変更での印刷結果。この印刷法は特色オレンジインクには不向きであることが確認できたが、どのみちドットを嫌うデカールには使用できない。

 特色オレンジに対し特色ホワイトをページ合成することで得られるオレンジのグラデーション。画面では確認しにくいが4回の特色ホワイト合成でも薄くオレンジが確認できた。

 上の結果をふまえて、さらにイエローインクを合成した。実使用に対して大きな期待を抱かせるに十分な結果が得られた。通常のドットのある印刷では得られないオレンジからレモンイエローまで明度の高い状態で変化している。

 このようにきれいに印刷できるまでに、様々な試行錯誤を行いインクの特性をつかんだ。その結果、このインクを使ったカセットは取扱いが困難であるためMDプリンター用としては一般的ではないと言える。しかし、ksinにとってデカールを作る上で課題であったドットレスオレンジを印刷するには欠かせないものとなる事は間違いがない。しかし、これも実際にデカール上で印刷できるか否かはこれからだ・・・。

けいしんのぺーじ